お見合いですか？

　週明けの朝、先ほど本社から来たメールを読んでいた。
この間、愛実が提案した、秋向けの試作品が出来たらしい。

　「森高、ちょっといいか？」
俺の近くまでくると、彼女は「あ、秋向けの試作品の件ですか？」と、訊いてきた。
「ああ、本社からメールがきてた。今週中に行きたいんだけど、都合は？」
「急ぎの仕事は無いので、いつでもいいですよ。」
「そうか、また俺も呼ばれてるから、こっちで本社と調整するけど、いいか？」
「はい。お願いします。でも、なんで支社長まで呼ばれてるんですか？」
「ああ、誰かさんが、変な事言うから。」
「え？」少し固まってから、「まさか、私？」と、タメ口で聞いてきた。
　
　俺は、大袈裟に頷いておいた。

　それから、愛実と一緒にスーパーを２店舗廻った。
森のパスタが一段落したので、一緒に来てもらう事にした。
まぁ、彼女を連れて行くと、向こうの反応も良いし。

　そして、昼食を食べるため、会社近くの喫茶店に来た。
昼時を少し、過ぎていたが、店内は結構混んでいた。
ちょうど、席が空いたらしく、あまり待たずに座れた。

　注文をすませて、彼女をみると、ちょっと緊張しているようだ。
おそらく、自分が何を言ったのか考えているんだろう。
早速、教えてやることにした。
「前に、本社で藤堂に言っただろ、地元に戻りたいって。」