お見合いですか?
 「うー、結論から言うと、腹黒ぽっちゃり癒し系に、そそのかされたと言うか、、その人の計画に乗ってみました。利害が一致してるんで。」
「それって、林康太のことだろ。」
「名前は、言えません。」
「何か愛実ってそんなに腹黒かったっけ?キャラ変わってねーか?」
「元々こういう性格です、敢えて隠してた部分はありますけどね。」
にっこり微笑んで言う彼女に、寒気がした。
敵にまわしたくない。

 それでも、余裕を取り繕って言ってみた。
「その計画って何?」
彼女は、躊躇う事無く、さらっと答えた。
「悠斗さんを本社に戻すぞ計画。」
「何だそのくだらない計画。何でそれが利益になるんだよ。」
「私としては、やっぱり地元で暮らしたいし、腹黒ジュニアとしては、嫁姑問題かな?多分。」
 なる程、こいつはこいつなりに周りの事を考えているみたいだ。

 
 だからって、この急展開はなんだろう?
愛実を喫茶店で問い詰めた翌日、早速本社に来た。
俺を待っていたのは、出来立ての試作品じゃなくて、腹黒の伯父さんだった。
そう、林の伯父さんだ。
義理だけどね。俺からすると。

「忘年会で、ですか?何を?」と、何故か連れてこられた、伯父さん宅のリビングで訊き返した。
先ほど、伯父さんは「忘年会で発表するのはどうだ?」と言ったのだ。
それに、質問で返したが、その返答に困惑した。
「だから、結婚の発表だよ。指輪くらい、そろそろ用意しないとな。」


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