お見合いですか?
 私に、気がつくと、ふっとその表情が和らいだ。
眉間の皺が解消されて、少しほっとした。
 彼から、こちらに近づいて来て、「ごめんな、伯父さんに昼飯付き合えって言われて、断れなかったんだ。」と謝ってくれる。
何となく、機嫌が悪そうな理由を聞けなかった。

 帰りの車内では、仕事の話とか、新店舗の話
をしていた。
私が、興奮して新店舗にテレビの取材が来た事を話してただけだけど。
何か、返事が上の空。
運転中だから、横を見るわけにはいかないんだけど。

 運転を交代してからも、彼は考え事をしているのだろうか、話かけても返事がない。
仕方が無いので、黙ってる事にした。

特にする事もなく、ぼんやり窓の外を眺めていた。
「おいっ、起きろ!オイッ!」
肩を揺さぶられて、目が覚めた。
ヤバい!寝てしまっていたらしい。
うわー、頭が覚醒したと同時に謝った。
「すみません!」
「寝癖直してこいよ。」
それだけ言うと、車の鍵を私に寄越して、さっさと車を降りてしまった。

 拍子抜けだ。
どうしたんだろう、何時もならもっと怒りそうなのに。

 この日からの、この違和感は、数日続いた。
何故か、心ここに非ずと感じる場面が多い。
仕事中はそんな事無いのに、家に帰って来るとボヤーっとしているし、人の話もろくに聞いてない。
当然、私の中にも、なんだかもやもやとした感情が生まれてくるわけで・・・
そして、週末それがとうとう爆ぜる。


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