お見合いですか?

有希のお節介

 「あれ、森高さんは?」帰ってきて、リビングにその姿が見えないから、有希に訊いた。
「ああ、健太と遊んでる。」と、和室をさす。
すると、有希の手元にある封筒に気付いた。
「それ何?」
「ああ、あなた宛に届いたみたいよ。」と手渡された。

 カタログだった、婚約指輪の。
「こんなの見てどうするの?」と、有希が覗き込んでくる。
「ああ、悠斗が預かっといてくれだってさ。」
さっき聞いた話だった。
有希は、森高さんに見つかるとヤバいからと、とっさに俺達の寝室に隠した。

 昼食の後、森高さんが昼寝している息子の面倒をかってでてくれたので、有希と2人で買い物に来た。
久しぶりにデートみたいで、嬉しい。

 「どうして、武中君は、怖じ気づいてるんだろう。」
少し、遠いが郊外にある大型のショッピングモールで買い物をして、休憩にフードコートに寄った。
 そこで、有希がそうこぼした。
「結婚よりも、本社に戻るのが嫌みたいだった。悠斗はさ、自分の父親とお兄さんを、裏切ったみたいなもんだから。」
「だからって、愛ちゃんに結婚する意味が分からないとか言う?結婚と本社に戻りたく無いって事は、別のことでしょ?」
「それはそうなんだけどさぁ、悠斗の中じゃ、切り離して考えられないんじゃないの?」

「はああ、あいつって偉そうなわりに、ヘタレよね。」
有希は、溜め息混じりにそう言った。
「まぁ、男にも色々あるんだって。」
庇うわけじゃないけど、言わずにいられなかった。
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