お見合いですか?
 「悠斗さん、本社に戻るのが嫌なの?」
愛ちゃんは、違う方向から攻めることにしたらしい。
「嬉しくはないけど、それはもう覚悟してるよ。」
「じゃあ、何が、気に入らないのよ?結婚自体が嫌なの?」
「小西うるさい。」
やっぱり、ムカつくーっ!
「あんたねー、まともに答えなさいよ。」
「だから、それは、小西が居ないところで言うよ。」
なんだとーー、やっぱムカつく!
「じゃあ、私が居なければいいわけ?」
「いえ、有希さんは、まだ居てください。」
だ、だから、上目遣いでみないでよ。
「有希さんに居てもらえると、助かります。心強いんです。」
武中君が、愛ちゃんを睨んだ。
そして、私を睨んでくる。
や、やめて、どうすりゃいいの?この状況。
固まって動けない。

 「悠斗さんは、私と結婚したくないの?それとも、結婚をしたくないの?」
「両方、嫌じゃないよ。俺は。ただ、このまま進めていいのか分からない。」
「どうして?」愛ちゃんが、首を傾げて訊いていた。
「おれ‘は’?」私が、引っかかっていた部分を強調して言うと、愛ちゃんが少し考えて武中君に言う。
「私に非があるとでも?」
あ、ちょっと愛ちゃんが怒っている。
「無いとは、言い切れないだろ。」
なんか、険悪な雰囲気だ。
こういう時に限って、スマホは鳴らない。
健太は泣いていないのだろうか。

 「もしかして、本社に行った日の電話聞いてた?」
「だったら?」
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