お見合いですか?
 後ろからそっと抱きしめられた。
ひさしぶりに、彼と2人きりの状況に緊張していた。
結構、夜景が綺麗だなぁとかそんな事を言いながら、どうしようかと考えていた時だった。

 「愛実」耳元で囁かれる。
腕が腰に廻されて、その手になにか持っている事に気づくと、「そろそろ、決意してくれる?結婚しよう。」と、箱を渡された。

 少し震える手で、箱を受け取り、開けた。
思ったよりもずっと豪華な指輪が、光り輝いていた。
 嬉しくて、声がでない。
思わず、片手で口を押さえる。

 無言のままの私に、彼が不安げな声を出す。
「愛実?」
腰に廻されていた、彼の腕が解かれると、少しよろけてしまった。
「大丈夫か?」慌てまた、私を支えるように腰に手を添えてくれた。
 
「はぁーごめん、びっくりしちゃって。」
そう言って振り返って彼を見た。
向き合って立つと、ちょっと緊張してしまう。
彼は、私の手首を掴み、ソファーに座らせてくれた。
 彼も、隣に座りお互いに向き合う。
彼は、私の手から小箱を抜き取り、目の前のローテーブルに置いた。
箱を開け、指輪を取り出す。
左手を取られて、そこで我に返った。
「返事は?」そう聞かれて、
「は、はいっ、よ、よろしくお願いします。」と、どもりながらも、なんとか返事をした。

 「緊張し過ぎ。」彼は、からかうように言いながら、薬指に指輪を嵌めてくれた。
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