お見合いですか?
 「俺と結婚するってさぁ、愛実にとっては、結構面倒だと思う。特にうちの母親は世間体っていうか体栽を気にするタイプだし。俺も、親が経営する会社に勤めているから、やっぱり親に反対されるような女とは、結婚できない。・・・だから、今まで結局、親の薦めた人と結婚する以外、無いんだろうなってどこか、諦めてた。」
 
 まぁ、彼の家柄を考えれば、当然のことだと思うけど、何が言いたいんだろう?
そんな、気持ちが態度に出たらしい。
少し、首を傾げてた。

 「ああ、だから、何が言いたいかって言うとさ、愛実とはそういう条件有りきで付き合ってきたけど、、、」
 
 彼は、急に後頭部をガシガシとかきながら、フーッと深い息を吐き出し、 なんか緊張してる?

 「俺は、愛実のこと、はー、その、愛してるから。そこだけは、信じて欲しい。」

 愛してるからは、目を見て言おうよ。なんか、照れてるせいか、だんだんとうつむきやがって!
とか、そんなふうに思ってるのに、視界は滲んでいて、ちょっと涙ぐんでるのが、自分でも判った。

 「お、おい、泣くなよ・・愛実?」

 オロオロしている彼が、可笑しくて、泣き笑いになる。

 「悠斗さん、ありがとう。私も、悠斗さんのこと、愛してます。」
思わず、抱きついた。
抑えきれなかった。
愛しいって、きっと、こういう感情だ。

 
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