お見合いですか？

「じゃあ、お昼行って来まーす。」と言って、立ち上がろうとしたら、「チョチョ、ちょっと待って。」と止められた。

　「今日、旦那がさぁ、外で食べて来るって言うからさぁ、お弁当余っちゃうんだよね。」
「えっ、有希さんそんな事許したんですか？」
「私は、そんな鬼じゃ無いわ。」
「えっ、でも林さんいつもここで食べてますよね。」時間帯はズレるが、林さんは、何時も帰社して昼食をとっている。外回りの日でもそうしていた。
「ああ、今日は、特別。むこうも偶には、外食したいだろうし、ねっ。だから一緒に食べましょう。井川君もいないし。ちょうど良いわ。」
そう言って、彼女は立ち上がった。

　「頂きます。手作りのお弁当なんて、本当に久しぶりです。」
お弁当箱を開けると、ぎっしり詰め込まれたご飯とおかずたち、野菜類が多く入れられていて、有希さんの林さんに対する愛情が伺えた。
が!!
「こんなに、食べられませんよ。」
「まぁ、残して構わないから。」
「えぇ、でも、申し訳無いですから。食べられるだけ食べます！」

　気合いを入れて、食べ始めた時だった。
「で、支社長と何があったの？」
ゴホッゴホッと、普通にむせてしまった。
お茶を飲んでから、「だから、何も無いですから！」
「いや～、今の反応は、何かあったって言ってるようなものでしょう。とうとうしちゃった？」
また、むせた。
「いや、ソレはないです。」
「えっ？なんで？同棲してるんでしょ？」
「約束してるんです。」
それから、３ヶ月は性行為をしないという約束の内容を話した。
「それでアイツは守ってるのそれ？」
アイツって、有希さん、地が出てます。
まぁ、林夫妻と支社長は同期入社で同学年だから、仲が良いらしい。

「守ってくれていると思います。」
今の所、怪しいと思った事はない。

「へぇ、じゃあ、やっぱり前の子とは、何もなかったのかなぁ。」有希さんが、呟いた。