お見合いですか?
 「で、ついて来て欲しいところって?」
注文をすませた後、早速訊かれた。
「忘れてくださいって言ったじゃないですか。」
「忘れるとは言ってないし。素直にデートしたいって言えば?」
「はぁ、そうなんですけどねぇ。でも、向こうの予定も聞けてないし。」
「ああ、そう言えば、支社長って連休中もこっちで仕事があるって言ってたような気がする。」
 有希さんが考えているうちに、パスタがきた。彼女は、ミートソースとか言っていたわりに、頼んだのは、トマトソースのパスタだった。因みに、私は、菜の花の和風パスタにした。

「う~ん、美味しい!春を感じます。何となくだけど。」

「そう言えば、愛ちゃんって、何も知らされてなかったの?」
「えっ?知らされてなかったって?」
「いや、お見合いの事とか?」
「誰から聞いたんですか?」
「旦那。」
「何で其処まで、筒抜けなんですか?」
「私が知りたいから、聞き出した。」
「何で?」と、聞いたら、何だか面白そうだからと言われた。
 面白そうって思う要素、どこにあったんだろう?  
 そして、続けて言った。
「だって、アイツが本気っぽいからさ。私と旦那と支社長って同期じゃん、しかも、支社長は旦那の従兄弟だし。」
「えっ、そうだったんですか。いとこだから筒抜けだったの?」
「そうだよ、しかも、同じマンション住んでるの、気付いてた?」
「知りませんでした。」
とりあえず、整理しよう。
そして今は、生理中だ。
ああ、初デートから1ヶ月経つんだな~。
ぼんやり食べながら、思った。

ん?大事なところ、聞き逃してない。
「本気っぽいってどういうこと?」
思わず、声に出ていたらしい。

「えっ、そのまんまの意味じゃん。同棲するために引っ越して、愛ちゃんの出した条件守って、女の為にそこまでする奴じゃないもの。」
と言われた。

えっと、整理する事が増えた気がする。
取り敢えず、午後の仕事に頭を切り替えるため、店を出た。

 
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