お見合いですか?
 今日は、電車で帰る事にした。
今は、仕事も落ち着いている時期で、別に支社長が遅くなる訳ではない。

 帰って来て、夕飯の準備をしながら、今までのことを考える。
 悠斗さんは、いつから知っていたんだろう?
ここに引っ越してきたのは、2月の半ばらしいから、やっぱりお見合いを知った時期は変わらないのかもしれない。
 と言うことは、やはり、始めから断るつもりはなかったのだろう。同棲も?
 悠斗さんが、武尊食品への入社に関する書類を渡してきたときに、私の親も、武中社長も結婚するものだと思っているとそう言っていたではないか。
 それは、もう同棲の準備が出来てるって意味だったのかもしれない。

 知りたいのは、どうしてそこまでする必要があったのかと言うことだ。
 有希さんだったら、単に悠斗さんが本気だからってなるんだろうけど。
 
 違う!そうじゃない。やっぱり何か、裏がある。それを、突き止めなきゃ。
いや、
 「絶対に突き止めてみせる。じっちゃんの名に賭けて!」
と、トンカツを揚げながら言ったら、
「お前のお祖父さん、何者?」という、突っ込みと笑い声が聞こえた。

「もうっ!ただいまくらい、言ってくださいっ!」
「わりぃ。驚かそうと思ってた。」そう言って
ククッと笑った後。「ただいま」と言ってくれた。
「お帰りなさい。どうしますか?先に食べますか?」
「うん、トンカツなら先に食べようかな。」
「まぁ、一応、冷めてもサクサクっていうのを目指したんですけど。」
「はぁ、研究熱心だねぇ、取り敢えず着替えてくる。風呂は?」
「あっ、ごめんなさいやってないです。」
「じゃあ、俺やるから、夕飯の支度しといて。」
はーいと返事をしながら、すっかりお風呂の準備を忘れていた自分に軽く、凹んだ。
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