お見合いですか？

「何を突き止めたいの？」
いただきますをして、食べ始めてから開口一番に、彼はそう聞いてきた。
　「それ、聞いちゃいます？」
「うん、聞きたいから訊いてるんだけど。」
なんか、怖い。何だこの威圧感。
「裏がある気がするんです。」
「裏？」
なんだか知らないけど、彼の威圧感がきえた。
だから、調子に乗って答える。
「良く考えてみてくれ、明智さん。」
「俺は、武中だけどね。」
「そもそも、お見合いをしなくても、お互い、十分にメリットがあったと思わないか？」
「まぁ、そうだね。ウチは稼働率の低いパスタ部門の稼働率を上げることが出来るし、君のところも、契約金がはいるし、良い宣伝になる。」

「じゃあ、何故そこに、お見合いなんて事件がおきたのか。」
「事件なの？単なる親心じゃないの？」
「いや、これは事件なんだ、明智さん。じゃなきゃ、こんなに強引に同棲している筈がない！」

「前に立てた仮説は？どうなるんだ？」
「それは、氷山の一画にすぎない。だから明智さん、俺、この事件の裏を突き止めてみせるよ・・・」
「はいはい、じっちゃんの名に賭けて、頑張ってくれ。」
「アアアアッ!!決めゼリフ言わないでよー！」
せっかく溜めをつくったのに。

　金田一ごっこをしてたら、トンカツが冷めてしまった。ああ、でも、冷めてもサクサク感は、残っている。やっぱり粗いパン粉のほうがいいのかな？
そんなことを考えながら、食べてたら、既に食べ終えている彼が、聞いてきた。
「突き止めて、どうすんの？」
「どうするというか、取り敢えず知っておきたいんです。色々。じゃないと、後悔する気がして・・・」
「知った方が、後悔しないとも、限らないけど。」
「それでもです。やっぱり知らないうちに流されて結婚したら、どこかで、これで良かったのかな？って思うんですよ。」
「後悔する奴は、何しても後悔すると思うけど」
「そうかも、知れませんが」