お見合いですか?
 「なんで、車が違うんですか?」
開口一番に言った。
「ああ、親父にけしかけられた。」
「へ?」
予想外の答えにぼーっとしてると、「荷物入れて」と言いながら、彼はトランクを開けてくれた。
 普段は、国産のハイブリッド車なのに、父親に言われたから高級車で来たって事?
と言うことは、この車は武中社長の趣味かなぁ。
きっとそうだ、彼は効率の悪いものを嫌う。
 車に乗ると、本物のレザーだろう、意外と座り心地がよかった。
デモさ、わざわざ左側通行の国で、左ハンドル
選ぶ理由ってなに?運転しにくいだけじゃん。

 彼の実家はてっきり工場地帯の近くだと思っていたけど、違った。
少し、山の方に入った所だった。

 うわー、広い。敷地が広い。
門から入って、少し走ってからやっと家が見えた。すげー、やっぱり、住む世界が違うよ!
私も、友達にお嬢様とか言われるけど、多分普通よりちょっと良いって感じよ、きっと。
公立の学校通ってたし。

 車を降りて唖然としていると、「荷物、入れ替えるから、持ってきて。」と言われ、トランクから自分の荷物を取り出した。
「貸して」と言ってくるので、何で?と、返したら、「はぁ、持ってやるって言ってるんだよ。」と、投げやりに言われた。
「な、何ですか?急に、気持ち悪い。」
「いいから、かせ。じゃないと、文句言われるのこっちなんだよ。」
「誰に文句言われるのよ?」
「お袋」
なる程、それで、変に優しいのか。まぁ、持って貰えるのは有り難いので、素直に荷物を渡した。
「いい、お母さんですね。」と言ったら。
「そうか?あの人の場合、世間知らずのお嬢様ってかんじだ。そういうのが、当たり前の世界の人だから。」
「ああ、わかります。そういう人ってちょっとズレてるんですよねー」
「そうかもなぁ。愛実の周りにもいるのか?」
「今は居ません。私、県内のお嬢様短大に通ってたので。。その頃は、けっこうそういう人居ました。」

そして、招かれた食事会が始まった。
わざわざ、ケータリングサービスを呼んだらしい。
レストランみたいに、テーブルが整っている。

 昨夜、どうやって、武中社長を問い詰めようか、考えてきたが、無理だ!
ああ、帰りたーい。もう、真相とかいいからさぁ。帰りた~い。
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