お見合いですか？

「今日は、お招きいただき、ありがとうございます。こちら、お口にあえばいいのですが。。。」と、先ずはお土産を渡す。
誰もが知っているであろう、高級チョコレート店のものだ。文句は言われまい。

「まぁ、どうも。さっ、座ってちょうだい。」
うん、作戦は成功したようだ。

　10年以上前、専門学校に行くといった私に、短大にしろと言ったのは、母親だ。
まぁ、私の母親もその短大出身なんだけど。
今、その事を、とても感謝している。
うん、短大時代の周りにいた女達を思い出せばいい。ある程度、攻略出来る。。多分。

　一通りの挨拶が済んで、料理が運ばれてくる。カトラリーを見て判ってはいたが、フランス料理だ。まぁ、私のテーブルマナーにケチをつけたいのだろうか？
だが、ここでもお母さんありがとう。
短大でのマナー講習が役立ったよ。
年に一回は、ホテルで食事をさせられてた意味が分かったよ、お母さん。

　私は、慣れた手つきで食べ始めた。
出てくる料理はどれも美味しい。

「森高さん、悠斗は迷惑かけてない？」と、目の前に座っている、お母さまが言った。
おっ、聞いていたイメージとは違い、意外とまともな質問をされた。
「いいえ、そんなことありませんよ。」
愛想笑い100％で、返す。
「ならいいんだけど、、結婚前に急に一緒に住むって聞いた時は、本当に大丈夫かしらって、心配でしたの。」

　ほう、どうやら、この奥様は結婚前の同棲には反対だったらしい。まぁ、世間体を気にする、固定観念の古いタイプだな。
て、ことは、やっぱり武中社長が同棲を決めたのかしら？

　「母さん、その話はもういいって言ってるだろう、別に問題なくやってるから。」
と、隣に座っている彼が、反論している。
焦っているようだ。