お見合いですか?
 連休明け、ニヤニヤと朝一番に有希さんに挨拶をされた。
「おはようございます。」と返したものの、まだ、にやけて聞いてくる。
「どうだったの?誕生日」と、そしてさり気なく、耳元に手を伸ばしてきて「もう、消えてるね。」と呟いた。
 こどもの日は、悠斗さんの誕生日だった。
その前の日に買った小さめのケーキとシャンパンで乾杯した。しかも昼間から。
うん、最高だったよ。昼間から飲むの。

 「一応、お祝いしましたよ。ラインで送った通りです。」
何故か有希さんは、私達のことに興味をもったらしく、最近ラインでやり取りをするようになった。おかげで、ケーキの写真まで送る羽目になった。

 香水も、思いの外、喜んでもらえたし。
食品会社だから、あまりキツい香りは良くないなぁと思い、爽やか系のものを選んだ。
商品名にも、マリンってはいってたし。
これからの季節にぴったりだと思う。
まぁ、今日は、付けてないみたいだけど。
そんな事を考えていたら、朝礼が始まった。

 今日は、夏に発売される新商品のパッケージデザインの打ち合わせがあった。
デザイン事務所の人が何種類かの候補を見せてくる。
 パッケージデザインを決めるのも支社の仕事らしい、事務要員の有希さん以外のメンバーが応接スペースで、会議に参加している。

 まず、見せられた候補の中から、どれがいい?と支社長が一人ずつ聞いていく。
林さんと井川君は黄色を主体にしたデザインを選んだ。
「森高は?」と聞かれ、2人とは違うデザインを選んだ。

「黄色を主体とした物もいいのですが、今回は、イタリアを主張したほうがいいと思います。ベルガモットは柑橘系ですから黄色でもいいと思いますが、柑橘類って主張すると、なんとなく味の想像が出来てしまいます。なので、まだ、知名度が高くない、ベルガモットって?という興味を持たせる方が購買意欲に繋がると思います。それに、赤、白、緑のカラーは、夏場に多い青系のカラーを使ったパッケージの中で、ちょっと目立つんじゃないかと、、黄色だとちょっと馴染んじゃいませんか?」
自分の意見を述べていると、デザイン事務所の人が
 「自分もそう思います。確かに夏の売り場は涼しい感じのブルーがよく使われるんですが、黄色も結構使われてるんですよ。なので、赤とかこっちの方がかえって目立つと思います。」
おお、分かってるじゃん。と上から目線で思った。
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