お見合いですか?
 そう言いながら、目の前のお皿を重ねて、操作したスマホをおいた。
その画面には、血液検査の案内が書かれていた。ネットで申し込み、後日送られてきた検査用のキットを使い、血液を数滴採って送り返すのだ。
 「HIVだけ受ければいいの?」
もっと、嫌な顔をされるかと思っていたが、結構スンナリと納得してくれた。
「はい、やっぱり、一番怖いのは、エイズなんで。ただ、検査は3ヶ月後にお願いします。」
「ん?なんで?」
「そのほうが正確なんです。仮にウィルスに感染してたとしても、感染してから3ヶ月くらい経たないと、検査しても分からないんだそうです。テレビでお医者さんが言ってました。
 な・の・で、3ヶ月間は、性行為はしないでくださいね。」

「えっ、マジ?」

「勿論です。て言うか、マジチャラいっ!
何、その反応!? 付き合っている人がいるのに、私とお見合いして、断りもせずに、同居しようとしてるって事ぉ?」最後は怒鳴り声に近かった。
途中で、椅子が倒れそうな勢いで立ち上がって言ってやった。
「いや、そうじゃなくて、付き合ってる子はいないから。」
流石に動揺した彼が、慌てて弁解をする。
「じゃあ、遊ぶ女の子はいるってこと?」
椅子に座り直してから聞いた。
「いや、そういう子は、いない。
まぁ、一応、俺なりに前向きに検討してるんだけどね。」
「はぁ、一応ねぇ・・・。なら、ガマン出来ますよね、3ヶ月くらい。」
ニッコリ笑って言ってやった。
「勿論、私も一緒に受けますから、ご安心を。」やはり、私も受けておくべきだろう。
じゃないと、フェアじゃない。
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