お見合いですか？

隠し事ですか？

　聞いてしまった。
なんだか聞いてはいけない事を聞いしまった。
私の事を話しているのが聞こえてきて、つい聞き耳を立ててしまった。
「今日の会議に森高を参加させた理由です。」
その理由は私も知りたい。
そっと寝室のドアに耳を付けた。
まぁ、当然会話相手の声まで聞こえるわけもなくて。
聞こえてきたのは、藤堂さんじゃダメなのかって言う質問と、親父とおばさんの意見が合わないと言う文句と、おじさんのせいで、私に不信感を持たれているから、大人しくしててくれっていう頼み事だった。


　「悠斗さん。」難しい顔をしていたので、思わず呼びかけてしまった。
寝室のドアを開けたら、ベッドに腰掛けて、スマホを睨んでいる彼がいた。

　呼ばれたのに気付くと、彼は、こっちを見て「愛実」と呼んだ。　
「どうしたんですか？難しい顔して。」
彼の隣に腰掛けて聞いた。

「ん、ああ、疲れたなぁって思って、愛実も今日は疲れたろ？」
こっちを向いた彼の顔は、確かに疲れた表情をしていた。

「疲れたというか、ちょっと不安になりました。」
「不安？」
「はい、何故私は、今日の会議に参加する事になったのか解らないから。意見を言うのも、言っていいのか迷いました。結局我慢出来ずに言っちゃいましたけど、言った後も良かったのかどうか・・」
「そっか。」また、難しい顔をして言った。
そして、寝ようとしてベッドに入っていく。
「どうして、教えてもらえないんですか？」