お見合いですか？
　じゃぁ、彼は私に仕事を覚えて欲しくはないの？そう言えば「藤堂じゃだめなんですか？」って、この前の電話で話してた気がする。
ああ、あんな電話聞くんじゃなかった。
　
　彼は別れた後のことをちゃんと考えている。
両思いだって浮かれてたのは、私だけ？
彼は、私のことを信じてないの？
好きだって言ってくれたのは、嘘なの？
「分からない。」

「何が？」
「明日香の説でいくとさ、悠斗さんは、結婚できなかった場合のことも考えているってことでしょ？両思いだって思ってたのに。」
「好きだけじゃ、結婚出来ないでしょ。家のこととか、色々あるんじゃないの？社長の息子なんでしょ？」
「そうだけど、私が離れていくって思ってるのかなぁ、私、信用されてなくない？」

「愛実、好きと信用は別だよ。好きだから、信用出来るとは限らない。人を信じるのって、凄く難しいし、時間が掛かることだよ。
　愛実だって、現に今、疑ってるじゃん。」

「そう・・だね。好きなのに信用出来ないって、なんか悲しいね。」

「そんなもんだって、勘違いしやすいけどね。好きって気持ちは本能だけど、信じるって気持ちは、、頭で考える事だと思う。だから、好きだけど信じられないっていうのは、よくある事でしょ。」

「そうだっけ？なんか恋愛が久しぶりすぎて、よく分からない。」

「ああ、そうそう、それでその例の元カレに会えるかもよ？」
急に話題が変わった。
「え？どういうこと？」
「あのね、確か来週の木曜日だったっけ？パーティーがあるの。」
そう言いながら、明日香はバッグから封筒を取り出した。招待状のようだ。
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