お見合いですか?
後ろめたいのか?
 力の抜けた彼女を抱きしめながら唇を離す。彼女は、ポーッとしながらもここが会社だと言ってきた。
「もう、誰もいねーよ。」
「はぁ、男の人って、こういう事好きですよね。」
「何だ、こういう事って?」
「あっ、と、その、スリルがある感じ?なんかそういうのが好きなんでしょ?」

 誰の事言ってんだよ。それって、あれだろ絶対に、元彼の事だろうが。
これも、元彼絡みだろ?
確か、伯父さんから聞いた事がある。
元彼がパティシエだとか。
 そうイラつきながらも、口では「そんな事ねーけど。第一、ここに誰が来るって言うんだよ?」と、軽く受け流した。

「そうですよね。」そう言って、彼女は少し笑った。
彼女を離し、「帰るぞ。」そう言ってコピーした紙を鞄へしまい、招待状を彼女に返した。

 「ハウスキーパーさん、頼んだんですか?」
帰ってくると、彼女がそう聞いてきた。
「ああ、先週はそれで怒られたからな。」
そう言ってやったら、彼女が少し赤くなって、うつむいた。
思い出したのだろう、先週末のことを。

 夕食を食べながら、そのパーティーのことを聞いてみた。
「なんだか、フランスでずっと修行をしてたパティシエさんのお店なんですけど、去年、神戸に第1号店をオープンして、今年、東京に2号店がオープンするみたいで、そのレセプションパーティーって言うんだっけ?まぁ、マスコミ向けのパーティーみたいです」

「ふーん、そう言えば、1号店オープンの時テレビで見たかも・・マスコミじゃないのにいいのか、参加して?」

「ああ、どうなんでしょう?明日香に聞かなきゃ。」
考えてなかったのかよ!思わず突っ込んだ。声には出さなかったけど。
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