お見合いですか？

　夕飯後、風呂も済ませて、ぼんやり考えていた。今日、康太と話した内容を思い出す。
　どうやら、康太の妹は本当に婚約するらしい。康太の妹は、まだ20代前半だろう。
すげーなぁ、いいのかそれで？
女は結婚を考えるのが早い。
　伯母さんとしたら、自分の娘に引き継いでもらいたいんだろうけど・・
　康太の話だと、伯母さんは、娘がダメなら、息子が良いらしい。ただ、味を決めるのは、女性のほうがいいと言ったのは伯母さん自身だから、悩んでいる。
　そこで、とりあえずは兄貴の嫁である、真理にやらせてみようという事になった。
真理は、母親のお気に入りだ。
なんてったって、真理の父親は、県内では有名な銀行の頭取だ。
近所に住んでいた事もあって、伯母さんも真理の事は、気に入っている。
何故、真理だけじゃダメで、愛実が候補に挙がっているんだ？

「また、難しい顔してる。」
ふと、声のした方を見ると、風呂上がりの愛実がいた。
「愛実」そう呼ぶと、彼女は隣に座った。
「最近、難しい顔ばっかり。」
心配されているのだろうか。
顔を覗き込まれた。ちょっと焦る。
「はぁ、話してくれないんですね。」
彼女が立ち上がって寝室へ行ってしまった。

　失敗した。怒らせた？
慌てて、寝室へ向かう。

　「愛実？もう寝ちゃった？」
彼女はベッドに潜り込んでいた。
すっぽりと布団を頭まで引き上げている。
くぐもった声が聞こえてきて、うろたえる。
彼女は泣いているようだった。