副社長と愛され同居はじめます
「何かの間違いじゃないんですか?」
「受付で名刺もらったし、俺もあの人の顔はよく覚えてるから間違いないよ。経済誌で見たことあるから」
まじか。
ナルセ商事に勤めてる私より勤勉じゃないか。
じゃあその人が本物だとして、やっぱり私を指名してきたというところが間違いだったりしないだろうか。
興奮するウェイターと対照的に私の顔色は青ざめるばかりだ。
いつまでもその場を動こうとしない私に焦ったようで、早く早くとウェイターが背中を押した。
「ほら、早く! お待たせしたら失礼だから」
「え、ちょ……まじですか、私一人?!」
相手云々も勿論そうだが、実はこれが初指名だったりする。
途中で先輩が抜けて間を繋いだことくらいはあるけれど、最初から一対一で接客するのはこれが初めてだ。
「新人だから、もう一人女の子つけましょうかって言ったんだけど、ヒナタちゃん一人でいいって言われちゃったんだよ。頑張って!」
冗談でしょう?!
まじで私一人なの?!
ウェイターが、尻込みする私の背中をぐいぐいぐいと押し続ける。
視線の先に、男性が一人で座るテーブル席が見えた。
斜め後ろからで、まだはっきりとは顔は見えない。
「ほら頑張って! 初指名おめでとう!」
ちっともおめでたくねえよ!
心の叫びと同時に、一際ドンっと強く背中を押され、私はそのお客様の視界の中へ飛び込んでしまった。
「受付で名刺もらったし、俺もあの人の顔はよく覚えてるから間違いないよ。経済誌で見たことあるから」
まじか。
ナルセ商事に勤めてる私より勤勉じゃないか。
じゃあその人が本物だとして、やっぱり私を指名してきたというところが間違いだったりしないだろうか。
興奮するウェイターと対照的に私の顔色は青ざめるばかりだ。
いつまでもその場を動こうとしない私に焦ったようで、早く早くとウェイターが背中を押した。
「ほら、早く! お待たせしたら失礼だから」
「え、ちょ……まじですか、私一人?!」
相手云々も勿論そうだが、実はこれが初指名だったりする。
途中で先輩が抜けて間を繋いだことくらいはあるけれど、最初から一対一で接客するのはこれが初めてだ。
「新人だから、もう一人女の子つけましょうかって言ったんだけど、ヒナタちゃん一人でいいって言われちゃったんだよ。頑張って!」
冗談でしょう?!
まじで私一人なの?!
ウェイターが、尻込みする私の背中をぐいぐいぐいと押し続ける。
視線の先に、男性が一人で座るテーブル席が見えた。
斜め後ろからで、まだはっきりとは顔は見えない。
「ほら頑張って! 初指名おめでとう!」
ちっともおめでたくねえよ!
心の叫びと同時に、一際ドンっと強く背中を押され、私はそのお客様の視界の中へ飛び込んでしまった。