副社長と愛され同居はじめます
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私がいなくなって、彼が困ることなど実は殆どない。
いや、全くない。


秘書を元々置いてなかったのだから、ただ元に戻るだけ。
家事は殆ど沢さんんがしてくれてるし、ただ夜の抱き枕がなくなるだけだ。


だから準備は殆ど必要なかった。
必要なのは行先だけだった。


ただ、急に消えるのは私自身が寂しくて、ずるずると数日を無駄にした。


知らない番号から携帯に電話がかかったのは、土曜日の朝だった。


ああ、今日が最後か、と。
その時に急に、彼の元を去る覚悟が決まった。


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