副社長と愛され同居はじめます
置手紙には、弟に送ってもらったお金はいつか必ずお返ししますということと、たくさんお世話になったけれどやっぱり結婚は出来ませんと書いた。


結局仕事ばっかりで、彼にまともに食事も作ってあげられなかったことが悔やまれて、まだ彼が眠っている間に久しぶりにキッチンに立つ。


作ったものと言えば結局、最初に彼に作ったサンドイッチと野菜スープで、感傷的な自分に呆れてしまう。



「いいなぁ。私はもういないけど、成瀬さんを少しでも癒してあげてね」



水槽に手を当てて、元気にゆらゆら揺れているネオンテトラたちにお別れをした。


私も、せめてただ彼を癒す存在になりたかった。


< 114 / 129 >

この作品をシェア

pagetop