副社長と愛され同居はじめます

「ご苦労、お察しします」

『そ、そうなんだよ!あれから俺も色々あってさ、結局連絡も出来なくて……ほんと、いとこ同士助け合おうって言ったのは俺なのにな』



唯一残っていたカーテンは安物だから余り遮光が良くなくて、日光を透かして室内に薄桃色を滲ませている。



「もうお気になさらずに。私達姉弟もそれなりに生きてますから。それより今日はなんのご用ですか」

『いや、良かったら一度会わないかと思ってさ。聞いたよ、婚約したんだって?お祝いさせてくれよ』

「ええ?なんの話です?」

『またまた、しらばっくれなくていいよ、ちゃんとした筋からきいたかんだからさ。ああ、それともまだ公には出来ないとか?』

「違いますよ。ほんとになんの話かさっぱりなんですけど?」



私がとことん惚けると、彼は声に苛立ちを混じらせた。



『嘘つけよ!さっき、成瀬のマンションから出てきただろうが!』


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