副社長と愛され同居はじめます
「あ、いや。そんな風には思ってないけど」
「だったらなんだ。つまんねぇこと書きやがって」
ぶつぶつと文句を言いながら不機嫌な顔を見上げ、すんっと鼻を鳴らした。
「逃げたことは怒らないの」
「どこまでも追いかけるからいい。逃げられるわけないだろ」
ふん、とふんぞり返るその偉そうなところも。
眉間のシワも、怒った時の青筋も。
すべてが愛しい、と思える。
愛しくて仕方がないと、じっと見つめる私の視線に、彼が気付いた。
「俺に何か、言うことはないか。小春」
少し優しくなった声に、じんと瞼が涙の気配を訴える。
ごめんなさい。
ありがとう。
離れたくない。
ずっと一緒にいたい。
言いたいことは、山ほど。
だけどやっぱり、一番に伝えたいことがある。
「好き……大好き」
首筋にすがり付く。
抱き止めてくれる彼を、誰よりも。
「愛してる」