副社長と愛され同居はじめます
徐々に、私の背後に近づいてくる。
じっと目を合わせたままで、どくんと鼓動が一つ高く鳴る。


その瞬間に、うなじにすっと何かが触れて驚いて肩が跳ねた。


「ひゃっ?」

「アクセサリーを変えろ」


しゃら、と首元のアクセサリーを取り去らわれ、新たにひんやりと冷たい感触が胸元から首筋に触れる。


鏡を見ると、キラキラ透明な石が大小さまざまに散りばめられたネックレスが、ずっしりと存在を主張していた。


すごく綺麗だ。
多分これは、イミテーションじゃないよね、絶対本物な気がする。


重要なのは、それが私の胸になぜあるかということで。
なんて反応すればいいのかわからなくて、率直に感想だけを口にした。



「……綺麗、ですね」

「気に入ったか」

「はあ」

「じゃあ、これにしよう」

「え?」

「良く似合ってる」



ふ、と鏡越しのままで成瀬さんの表情が和らいで、ついその微笑みに見とれていた。
おかげで、私は彼の「これにしよう」という言葉をそのまま見過ごしてしまった。

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