副社長と愛され同居はじめます
「あ……すみません勝手に」
やっぱり図々しかっただろうかと、咄嗟に謝罪の言葉が出た。
だけど、そういうわけでもないらしい。
「いや? 好きに使えばいい」
「え、いいんですか?」
「このままここに住めばいいしな。自分の家なのに勝手にできないのは窮屈だろう?」
「え?」
「ん?」
この人と話していると、現実味がないことが即座に現実にされそうな恐怖を感じる時がある。
つまりは、今日からでも一緒に住もうという提案だろうか。
ここで「はい」と言ったら数分後には引越し業者が動き出すに違いない。
「まあ、それはそれで追々と。じゃあ、勝手に作っちゃったけど良かったです。すぐ食べられますか?」
「流したな。まあいい。俺はいらないから小春は好きに食べてていい」
「え?」
「シャワー浴びて来る」
そう言うと、彼はさっさと背を向けていってしまった。