副社長と愛され同居はじめます
当然半分以上を残してしまった。


野菜スープも鍋にたっぷりあるけれど、あれはその都度温め直せば明日くらいまでは大丈夫。
サンドイッチはできるだけ早く食べたいところだ。



「じゃあこれ、お昼に回しましょうか」



と言って、ラップをしようとしたのだけれど。



「いや。昼は外に出る」



彼が言ったので、ぴたりとその手が止まった。



「え? そうなの」

「ああ」

「じゃあ、これどうしようかな」



だったらやっぱり、今食べてくれないかな。
だけど無理強いするのもな。


と、私なりに成瀬さんに気を遣っていたのだけれど、次の信じられない一言で全部吹っ飛んだ。



「昼は、ホテルのビュッフェに行こう。それは食べきれなかったなら捨てておいて」

「…………は?」



数秒は何を言われたのかさっぱりわからなかった。
想定外のセリフ過ぎて。


常識的に考えて、人が作ったものを「捨てておいて」なんて躊躇いなく言うのはおかしい。
しかも、食べない理由が何。


特に重要な用事があるわけじゃなく、ホテルのビュッフェが食べたいからだと?



ブチブチブチッ。
と頭の中の線が数本ブチ切れた。

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