副社長と愛され同居はじめます
成瀬さんは、ぽかんと、本当にぽかんとしていた。
本当にわかってないんだ、この人は。



「今回は私が作ったものだけど、普段は？　例えばハウスキーパーさんとかお店でお食事する時ならシェフとか、とにかくいつだって同じ。一生懸命作った人が居て、食材にだって人の手が関わってて、そういうの全然見えてないの？」

「………」

「それだけじゃないよ、朝食べない人なのかもしれないけど、勝手に食べとけみたいな雰囲気は絶対嫌。それといくらお金持ちでも物や人を大事にしないのは絶対間違ってる。私とほんとに結婚するならそこは絶対治してもらうから！」



そこまで言い切った時、私はぜえはあと肩で息をしながら腰に手を当て、ふんぞり返っていた。


彼はまだ瞠目して黙ったままだった。


あ、やばい。
ちょっと偉そうに言い過ぎた？


でも全然間違ったことは言ってないし、この人ほんとにこのまま生きていくならあちこちで人をムカつかせて生きててこれからもそうなるわけでしょ。


傍迷惑な。
絶対調教してやる。


当然、何か言い返されるだろうと思って、様々なパターンで応戦を考えていた。のだが。



「……そうか。わかった」

「え？」



なぜだか、彼はとても素直に頷いた。

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