副社長と愛され同居はじめます
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定時、きっかり。
本当なら、呑気に「定時で上がりまーす」なんてやってる場合じゃないんだろうけど、運転手の芹沢さんが駐車場で待ってるからと伝言を聞き、仕方なく帰り支度をする。
疲れた。
これまでで一番、入社一日目よりもどっと疲れた一日だった。
重い身体を引きずりつつ、この後成瀬さんと顔を合わせることを考えると、更にもひとつ重たくなる。
「荒川様、どうぞこちらへ」
「あ、ありがとうございます」
地下駐車場に降りるとすぐ、芹沢さんが待っていてくれて近くまで寄せてあった車のドアを開けてくれた。
そこに成瀬さんがもういるのかと思い、どんな顔をしようかと緊張したのだが、後部座席には誰も居ない。
「あ、れ?」
ただ、シートの中央に真っ赤な大輪の薔薇の花束が、置いてあった。
「副社長はまだ時間がかかりそうだとのことで、荒川様には先に帰るようにと仰っておられました」
「そうなんですか。あの、これは?」
「副社長からの贈り物です」
ずっしりと重たい花束を膝の上に乗せる。
何とも言えない薔薇の香りが漂い、思わず深呼吸する。
間違いなく、これは、私を怒らせたことへの謝罪の意味なのだろうけど……メッセージカードも何もついてない。
なんてぶっきらぼうな花束だろう。
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定時、きっかり。
本当なら、呑気に「定時で上がりまーす」なんてやってる場合じゃないんだろうけど、運転手の芹沢さんが駐車場で待ってるからと伝言を聞き、仕方なく帰り支度をする。
疲れた。
これまでで一番、入社一日目よりもどっと疲れた一日だった。
重い身体を引きずりつつ、この後成瀬さんと顔を合わせることを考えると、更にもひとつ重たくなる。
「荒川様、どうぞこちらへ」
「あ、ありがとうございます」
地下駐車場に降りるとすぐ、芹沢さんが待っていてくれて近くまで寄せてあった車のドアを開けてくれた。
そこに成瀬さんがもういるのかと思い、どんな顔をしようかと緊張したのだが、後部座席には誰も居ない。
「あ、れ?」
ただ、シートの中央に真っ赤な大輪の薔薇の花束が、置いてあった。
「副社長はまだ時間がかかりそうだとのことで、荒川様には先に帰るようにと仰っておられました」
「そうなんですか。あの、これは?」
「副社長からの贈り物です」
ずっしりと重たい花束を膝の上に乗せる。
何とも言えない薔薇の香りが漂い、思わず深呼吸する。
間違いなく、これは、私を怒らせたことへの謝罪の意味なのだろうけど……メッセージカードも何もついてない。
なんてぶっきらぼうな花束だろう。