副社長と愛され同居はじめます
芹沢さんからマンションのカードキーも渡されて、大きな花束を抱えエレベーターを上がった。
花束なんてもらったことが初めてだったせいもあるけど、あんなに怒りまくっていたのが今は少しずつやわらぎつつある。
秘書に無断で異動させられたことよりその後いわれた言葉を、私は勿論、まだ根に持ってはいるけれど。
許したわけじゃないけど、ちょっとだけ機嫌は回復。
現金なものだな、女なんて結構単純だな、と自分のことながらにそう思う。
初めて使うカードキーをドキドキしながら差し込んで、部屋に上がるとなぜかもう灯りがついていた。
「あれ……成瀬さん?」
まだ仕事だって、聞いてたけどもしかしてもう帰っているのだろうか?
不思議に思いながらも廊下を抜け、リビングのガラス戸を空ける。
「う……わ……」
リビングとダイニング、そこかしこにピンクと赤の薔薇が飾られていた。
それはもう、何百本とありそうなほど。
ローテーブルの上、窓際壁際にはぎっしり、ダイニングテーブルの中央には一際大きな薔薇のアレンジが置いてある。
近寄ってみてみると、やっぱりそのアレンジにも何もカードはついてない。
「……本当、何しちゃってるの、あの人」
この後、この大量の薔薇を一体どうするつもりなんだろう。
きっと、何も考えていないんだろうな。
呆れて言葉もないとはこのことだ。
だけど言葉の代わりに、私は成瀬さんの顔を思い出してどうにも可笑しくて笑っていた。
きっとあの人は大真面目に、私のご機嫌を取ろうとしているのだ。
花束なんてもらったことが初めてだったせいもあるけど、あんなに怒りまくっていたのが今は少しずつやわらぎつつある。
秘書に無断で異動させられたことよりその後いわれた言葉を、私は勿論、まだ根に持ってはいるけれど。
許したわけじゃないけど、ちょっとだけ機嫌は回復。
現金なものだな、女なんて結構単純だな、と自分のことながらにそう思う。
初めて使うカードキーをドキドキしながら差し込んで、部屋に上がるとなぜかもう灯りがついていた。
「あれ……成瀬さん?」
まだ仕事だって、聞いてたけどもしかしてもう帰っているのだろうか?
不思議に思いながらも廊下を抜け、リビングのガラス戸を空ける。
「う……わ……」
リビングとダイニング、そこかしこにピンクと赤の薔薇が飾られていた。
それはもう、何百本とありそうなほど。
ローテーブルの上、窓際壁際にはぎっしり、ダイニングテーブルの中央には一際大きな薔薇のアレンジが置いてある。
近寄ってみてみると、やっぱりそのアレンジにも何もカードはついてない。
「……本当、何しちゃってるの、あの人」
この後、この大量の薔薇を一体どうするつもりなんだろう。
きっと、何も考えていないんだろうな。
呆れて言葉もないとはこのことだ。
だけど言葉の代わりに、私は成瀬さんの顔を思い出してどうにも可笑しくて笑っていた。
きっとあの人は大真面目に、私のご機嫌を取ろうとしているのだ。