副社長と愛され同居はじめます
その後、ホテルのケータリングサービスで贅沢なお料理まで届き、私は薔薇の充満した部屋で一人お料理に舌鼓を打った。
せっかく大量の薔薇があるのだし薔薇風呂というのをやってみようかと、花瓶に移した薔薇の花束から何輪か取って、ソファでくつろぎながら一枚一枚花びらを取りテーブルの上に乗せていく。
花の形のまま浮かべてもいいのかもしれないけれど、ネットで検索したら花びらの方がいいって書いてあった。
そうしているうちに、私はいつの間にかうたた寝してしまっていたらしい。
「……る。こはる」
「ん……」
頬を撫でられた感触と、同時に名前を呼ばれて薄らと目を開ける。
まだ視界も頭もぼんやりとしたままだけど、目の前にいる人くらいは認識できる。
「成瀬さん? お帰りなさい」
ごしごしと目を擦って、再び彼を見る。
にこりともしない、無表情がすぐ目の前にある。
「ただいま。何をやってる?」
「ふあ……何って、寝てたみたいいつのまにか」
「寝る前のことを聞いてる」
言いながら、彼が私の膝の上にあったちぎりかけの薔薇を手に取る。
そして、テーブルの上に散らかった花びらに視線を向けた。
「あ。薔薇風呂でもしようかと思って花びらちぎってて……寝ちゃったみたい」