副社長と愛され同居はじめます
「ありがとうございます」
きゅう、と抱き着いて首筋に顔を埋める。
すると暫くして、背中に手が回されぽんぽんと宥めるように叩かれた。
安心できる温もりに、深く息を吐く。
「まあ、英語だけじゃなくイタリア語なんかも出来れば。先は長いだろうけど」
「……頑張ります」
げ、と思ったけれど。
それしか言えないじゃないの、ここまでされてしまっては。
「機嫌は直った?」
「はい」
「じゃあ、そろそろ好きになったか」
「ふっ……何言ってるんですか」
今日はたまらなく、成瀬さんのことが、可笑しくて愛しい。
これが「好き」ならとても単純な話だけれど。
「冗談で言ってるんじゃない」
成瀬さんの声が、ちょっと拗ねたように不機嫌になった。
「だって、そんな急に言われても。そんなこと言うなら、成瀬さんはどうなんですか」