副社長と愛され同居はじめます
電話をかけてきたのは弟だった。
それを知ると、彼は私を膝から下して書斎の方へ行ってしまう。
電話の邪魔をしてはいけないと思ったのかもしれないけれど、なんとなく違和感があり首を傾げながら電話に出た。
「もしもし翔太?」
『姉ちゃん! 良かったやっと出た』
可愛い弟は何やら私を心配していたようで。
そう言えば、昨日何度か着信が入っていたのだった。
「ごめん、昨日は一日中ぐったり寝ちゃってて、着信に気づいたのが夜中で。なんだった?」
『なんだじゃないよ、姉ちゃん今何がどうなってんの?』
「うん? 何が。よく意味がわかんないんだけど」
『意味がわかんないのこっちだよ。まず、昨日さ、すげえ金額の仕送りが振り込まれてたんだけど。姉ちゃんの名前で』
「え……いくら?」
『百万。俺、ゼロの数何回も数え直しちゃったよ』
成瀬さん!!
確かに、翔太に月々仕送りしていることを成瀬さんに相談してはあったけど、何考えてんですか大学生の仕送りに百万て!!
え、それとも何、一年分ってこと?
いや多分そうじゃないな、多分もっと雑な理由だ。
今すぐ書斎に乗り込もうとして、ふと気づく。
翔太、今『まず』って言った。
「翔太? まず、がそれなら他に何? まだなんかあるの?」