副社長と愛され同居はじめます
ちら、と門田さんの表情を窺う。
彼はあまりになんでもない顔をしたままで、もしかしてわざとじゃなかったのかな、とか首を傾げていた時だった。
「ヒナタさん、お願いします」
ウェイターに不意に呼ばれて、少しほっとしながら顔を上げた。
多分、どこか別のテーブルのヘルプに移れということだろう。
「すみません、門田さん。少し失礼しますね」
話の途中で席を立つことに申し訳なさを感じるけれど、門田さんとマナミさんの傍のお客様にも一礼してそのテーブルを離れた。
良いお客様だったけれど、やはり離れるとほっと気が抜ける。
これで一息つければいいけれど、まさかそんなわけはないとちゃんとわかっている。
「次はどこに行けばいいですか?」
私を呼んだウェイターに尋ねると、彼はやや興奮気味で私に耳打ちした。
「ヒナタちゃん! 一体どこであんな大物呼んで来たの?」
「は?」
一体何の話だと、首を傾げる。