天人菊
序章
1940年代…日本が戦争一色に染まっていたころ

『大本営海軍部発表!!帝国海軍航空部隊は12月8日未明、ハワイ真珠湾にてアメリカ太平洋艦隊に甚大なる損害をあたえたり!!』

1941年12月8日、日本軍による真珠湾での奇襲攻撃によって太平洋戦争が始まった。
そしてその2日後にはマレー沖海戦でイギリスの東洋艦隊の主力である戦艦を撃沈。
その後シンガポールやフィリピンなども日本軍に占領されていった。
その翌年1942年6月5日のミッドウェー海戦でアメリカに作戦を全て知られ、日本軍の敗北。
しかしこのことは国民には知らされず、日本軍は勝ち続けていると思われていた。
そしてついに一般国民にも戦争の火の粉が降りかかってきた。
学生の学徒出陣…赤紙と呼ばれる召集令状が届くと必ず戦争に行かなくてはならなかった。
1年間の訓練を受けた後、第一線に送られていた。
空襲や沖縄の本土決戦…日本が敗戦色に染まって行くなかで日本軍がとった最後の作戦が『神風特攻隊』だ。奄美群島の喜界島を出撃地とし、毎日のように攻撃をしかけていた。

この物語はそんな特攻隊に駆り出されたひとりの青年とその喜界島の女学生との物語である。


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