和花葉さんは今日も
和花葉さんと田辺くん
次の日。
俺は早々に弁当を食べ終えると、教室を出た。
向かうのは体育館裏。
昨日、山本が猫に餌をあげていた場所だ。
目的地に着くと、やはり、山本が猫に餌を与えていた。
「今日も来たんだね」
「あ、わりぃ……。邪魔だったか……?」
山本に言われて、自分の好奇心にだけ従って、彼女の気持ちを考えずに行動していたことに気がついた。
「全然大丈夫」
山本はそう言って微笑むが、それが本音なのかは分からない。
「山本に……聞きたいことがあって」
「私のことは名前で呼んでいいよ」
梓ちゃんと被って、ややこしいでしょ?と言われた。
梓ちゃんとは、2年2組のもう一人の山本、山本梓のことだ。
今、俺は山本を名字で呼び捨てしているが、名前で呼び捨てするわけにもいかないので、笹木と同じく、和花葉さんと呼ぶことにした。
「じゃあ……和花葉さんに聞きたいことがある」
「どうぞ」
了承を得たので、早速、質問しようと口を開く。