和花葉さんは今日も
「……あのさ、もし、よかったら……」
「?」
「……そのコーヒーの店、休みの日に、一緒に行かないか?」
「…………」
彼女は何も答えずに、ぽかんとした顔でまばたきを繰り返す。
……なんか、すごく恥ずかしくなってきた。
こんな風に自分からさそったことねぇし。
しばらく沈黙が続いたが、彼女はうんともすんとも言わない。
「…………俺と行くのは嫌か……?」
「へっ!?……ぜ、全然、喜んで!」
急に我に返ったかと思えば、顔を真っ赤にしてまくしたて始めた。
「あの、嫌だから何も喋らなかったんじゃなくて、その、こういう風にさそわれるのが、久しぶりで嬉しくて……誤解されるようなことしちゃって、ごめんね?」
「いや、気にしてない」
むしろ、嫌がることを言ってしまったのかと心配していた。
……もしかしたら、彼女は今も気を使って、喜んでいるフリをしているんじゃないか。
「田辺くんとコーヒーのお店行けるんだ……。嬉しいな……」
でも、本当に嬉しそうに笑う彼女を見ていたら、杞憂なのかもしれないと思えた。