和花葉さんは今日も
――彼女は、どう過ごすんだろう。
夏休みの間も、毎日、学校に来て太郎の世話をするのだろうか。
そもそも、休日はどうしているのか。
「和花葉さん、ちょっと聞くけど」
「……?」
「土日とかも太郎見に、学校来てんの?」
「うん、もちろん」
まじか。
正真正銘、365日毎日、学校へ通っているのか。
俺は、驚愕した。
彼女といると、驚かされてばかりだな。
いくら、太郎が飼い猫に限りなく近い野良猫だとしても、餌と水さえ用意しておけば、一日二日くらい、何の問題もなく生きられると普通は思うが。
彼女がこれほどまでに、太郎に執着するのには、何か理由があるのだろう。
きっと、その理由は聞いても、彼女は答えない。
以前よりも彼女は、よく喋るようになったけど、自分のことについて語ろうとしないから、笹木から得た情報以上のものを俺は知らない。
クラスメイトの中で、彼女といる時間が一番長いのは俺のはずなのだが。
彼女のことをもっと知りたい、なんて――。
そんな考えが頭をよぎると同時に、表彰式が始まるという校内放送が流れた。
「田辺くん、行こう」
「――え、ああ」