和花葉さんは今日も







さて、ここまで詳細に山本について語っておいてなんだが、俺の彼女に対しての関心はほとんどない。

そもそもこの情報は、友人である笹木から得たものだ。

笹木は山本に恋愛的な好意を抱いているようで、よく彼女を観察している。

そして話のネタが尽きると、すぐ山本の話を振ってくるのだ。

嫌でも山本についての情報が入ってくる。

つまり、俺の山本への印象=笹木の山本への印象というわけだ。



「和花葉さんは今日もかわいいなー」



また、言ってる。

今日は本を読んでいるらしい彼女の横顔を見て、恍惚としながら呟いた。




なぜ彼は山本を名前で呼んでいるかというと、このクラスには山本が二人いるから私のことは名前で呼んで、と本人から言われたらしい。

山本と同じ委員会である笹木は、普段人と会話しない彼女にとって貴重な話し相手の一人だ。





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