ムシ女
「どうしよう」


また同じ事を呟いた時だった。


あたしは自分がちゃんと制服を着ていることにきがついたのだ。


あたしが身に付けていたものが同じサイズになっている。


ハッとして、スカートのポケットに手を入れた。


コツンッとなめらかで固いものに指先が触れる。


その瞬間嬉しさで涙が浮かんだ。


あたしはそれをしっかりと掴み、取り出した。


スマホだ。


いつも使っている薄いピンク色のスマホが、あたしと同じサイズになって手のひらの上にある。


問題はちゃんと使えるかどうかだった。


防水加工のスマホは薬品まみれで、手のひらで拭ってみたけれど気休めにもならない。


衝撃のためが電源はおちていて、画面もひび割れている。


あたしはスッと息を吸い込んで、スマホの電源を入れた……。
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