ムシ女
☆☆☆
それから少し経った時、部屋のドアが開く音が聞こえてあたしは目を覚ました。
箱に入ってくる光はさっきまでと変わらない。
そんなに時間は経っていないようだ。
あたしは上半身を起こし、天井を見上げた。
足音は真っ直ぐこちらへと向かってきている。
「起きてるか?」
陽介君のそんな声が聞こえてきて、あたしはハッとした。
学校から帰って来たのだ。
「うん」
そう返事をする自分の声は熱でとても小さくなっていた。
天井を見ていると、ビニールの向こう側に陽介君の目が見えた。
その目に一瞬体が震えるのを感じた。
「昨日が学校に泊まりになったんだ。元気な生徒たちで残って、校舎の様子を確認してまわった」
陽介君はそう説明をしながらハサミを手にした。
ビニールの向こうに見えるハサミの刃に、あたしは咄嗟に部屋の隅へと逃げていた。
「このビニール部分は取っておくぞ。その方が箱の中に熱がこもらないだろ」
陽介君はそう言うと、ティッシュ箱のビニール部分を切り取りはじめた。
頭上で大きなハサミが動いている様子に、また身震いをした。
それから少し経った時、部屋のドアが開く音が聞こえてあたしは目を覚ました。
箱に入ってくる光はさっきまでと変わらない。
そんなに時間は経っていないようだ。
あたしは上半身を起こし、天井を見上げた。
足音は真っ直ぐこちらへと向かってきている。
「起きてるか?」
陽介君のそんな声が聞こえてきて、あたしはハッとした。
学校から帰って来たのだ。
「うん」
そう返事をする自分の声は熱でとても小さくなっていた。
天井を見ていると、ビニールの向こう側に陽介君の目が見えた。
その目に一瞬体が震えるのを感じた。
「昨日が学校に泊まりになったんだ。元気な生徒たちで残って、校舎の様子を確認してまわった」
陽介君はそう説明をしながらハサミを手にした。
ビニールの向こうに見えるハサミの刃に、あたしは咄嗟に部屋の隅へと逃げていた。
「このビニール部分は取っておくぞ。その方が箱の中に熱がこもらないだろ」
陽介君はそう言うと、ティッシュ箱のビニール部分を切り取りはじめた。
頭上で大きなハサミが動いている様子に、また身震いをした。