ムシ女
信じる
数時間後、あたしは大量の汗をかいて目を覚ましていた。


頭と体は随分とスッキリしていて、失われていた食欲が出ていることに気が付いた。


しっかりと水分を補給して眠ったことで熱が下がったのだ。


上半身を起こすと少しだけふらついたけれど、さっきまでよりも随分楽にないっている。


陽介君が持って来てくれたご飯に手を付けた。


焼き魚は冷えて冷たくなっていたけれど、おいしいと感じることができた。


食べられなかった分の栄養を存分に取り入れた時、不意に天井から下りてくる光が遮られた。


顔を上げると、そこには黄色くて丸い目があった。


ミィだ。


いつの間に部屋に入って来たのだろう?


いつもならドアが開く音がして気が付くのに、今日は全然聞こえなかった。


あたしは食べるのをやめてジッとミィを見た。


真っ暗なこの部屋の中にあたしがいる事が見えているだろうか?


「ミィ?」


あたしは声をかけて見た。


ミィは驚いたように後ずさりをして一旦視界から消えた。
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