ムシ女
触れてみても、ミィは微動だにしない。


それ所かこちらを見て「早く乗れ」と言っているようにさえ感じられた。


あたしは戸惑いながらも、ミィの背中にまたがった。


フカフカの毛が体に絡み付く。


しかし、猫の背中は案外丸っこくて、ツルツルと滑ってしまいそうだった。


あたしはミィの首輪をしっかりと掴んだ。


「ニャァ」


ミィが鳴いて、体を起こす。


視界がグンッと高くなり、あたしはミィの背中に自分の体をピッタリとくっつけた。


こうしていた方が安定感がある。
< 112 / 155 >

この作品をシェア

pagetop