ムシ女
☆☆☆
それからあたしは虫かごの中での生活を強要されるようになった。
以前のように床にティッシュを引いてもらうことも、トイレスペースを作ってもらう事もできなかった。
だって、あたしは虫だから。
虫には柔らかな床も、トイレも必要ないから。
食べ物も、人間の食事から虫用のゼリーに変わった。
味は泥臭くて、口に入れた瞬間吐き出してしまう。
それでも、それ以外の食事は一切与えてもらえないから、無理やり口に運び、飲み込んだ。
虫かごの中でこっそり用を足すと、ケース内にはすぐに糞尿の匂いが立ち込めた。
少しでも匂いを緩和させようと手であおいでみても、大して変化は感じられなかった。
当然のようにお風呂に入ることも許されなくなった。
切断された足の傷が治る事はなく、寝ても覚めてもズキズキと刺すような痛みを一日中感じていた。
ウミがたまっていないことだけが、せめてもの救いだった。
陽介君はあたしを虫だと言いながらも、毎日話しかけてきた。
虫は返事をしない。
心の中でそう思ってだんまりを決め込んでいると、飼い主を無視するなと怒鳴られた。
怒りと悲しみと悔しさで何度も何度も涙を流した。
それからあたしは虫かごの中での生活を強要されるようになった。
以前のように床にティッシュを引いてもらうことも、トイレスペースを作ってもらう事もできなかった。
だって、あたしは虫だから。
虫には柔らかな床も、トイレも必要ないから。
食べ物も、人間の食事から虫用のゼリーに変わった。
味は泥臭くて、口に入れた瞬間吐き出してしまう。
それでも、それ以外の食事は一切与えてもらえないから、無理やり口に運び、飲み込んだ。
虫かごの中でこっそり用を足すと、ケース内にはすぐに糞尿の匂いが立ち込めた。
少しでも匂いを緩和させようと手であおいでみても、大して変化は感じられなかった。
当然のようにお風呂に入ることも許されなくなった。
切断された足の傷が治る事はなく、寝ても覚めてもズキズキと刺すような痛みを一日中感じていた。
ウミがたまっていないことだけが、せめてもの救いだった。
陽介君はあたしを虫だと言いながらも、毎日話しかけてきた。
虫は返事をしない。
心の中でそう思ってだんまりを決め込んでいると、飼い主を無視するなと怒鳴られた。
怒りと悲しみと悔しさで何度も何度も涙を流した。