ムシ女
学校に行きはじめてから陽介君は頻繁にベッドの下の引き出しを使うようになっていた。
授業で使う道具は机にあるのに、どうしてベッドの下の引き出しを気にするようになったのか。
最初はそんな事気にもしなかったけれど、最近になって少しずつその理由がわかりはじめていた。
陽介君はベッドの下の引き出しを開ける時、いつも引き出しの前に座り、自分の体で何かを隠すようにしているのだ。
陽介君1人しかいない部屋の中でわざわざそんな事をするということは、あたしに見られたくない何かが引き出しの中にあるということだった。
あたしに見られたくないもの、それは……。
スマホだ。
小さくなった、あたしのスマホ。
それ以外に陽介君が隠すものなんて、なにもないはずだった。
あたしはジッとベッドの下の引き出しを見つめた。
見ていればいずれ引き出しが開くんじゃないかと思えるくらい、長時間見つめた。
あの中に、あたしの命を助ける道具があるんだ。
それなのに、あたしはここから出る事ができない。
それはすごくもどかしくて、あたしは再び歩く練習を始めたのだった。
授業で使う道具は机にあるのに、どうしてベッドの下の引き出しを気にするようになったのか。
最初はそんな事気にもしなかったけれど、最近になって少しずつその理由がわかりはじめていた。
陽介君はベッドの下の引き出しを開ける時、いつも引き出しの前に座り、自分の体で何かを隠すようにしているのだ。
陽介君1人しかいない部屋の中でわざわざそんな事をするということは、あたしに見られたくない何かが引き出しの中にあるということだった。
あたしに見られたくないもの、それは……。
スマホだ。
小さくなった、あたしのスマホ。
それ以外に陽介君が隠すものなんて、なにもないはずだった。
あたしはジッとベッドの下の引き出しを見つめた。
見ていればいずれ引き出しが開くんじゃないかと思えるくらい、長時間見つめた。
あの中に、あたしの命を助ける道具があるんだ。
それなのに、あたしはここから出る事ができない。
それはすごくもどかしくて、あたしは再び歩く練習を始めたのだった。