ムシ女
救出
スマホを腕の中に抱きしめてうずくまっていたあたしは、家の一階が騒がしくなった事に気が付いて顔を上げた。
「ちょっと、勝手に上がらないでください!」
「あいつの部屋はどこですか? そこに百合花がいるんです!」
和の声だ!!
遠くてくぐもっているけれど、それは間違いなく彼氏である和の声だった。
あたしは壁に手を付いて立ち上がり、ドアへと視線を向けた。
手にはしっかりとスマホを握りしめている。
「百合花ちゃん! どこにいるの!? いたら返事をしてちょうだい!!」
これはお母さんの声だ!
2人の声にまた涙が浮かんできた。
「ここだよ!! あたしはここにいるよ!!」
涙で震える声を懸命に振り絞る。
今のあたしがどれだけ大きな声を出したって部屋の外まで聞こえる事はないだろう。
それでもやめるわけにはいかなかった。
もうすぐであたしは助かるんだ。
ここから出られるんだ。
「お母さん! 和! あたしはここにいるよ!!」
「ちょっと、勝手に上がらないでください!」
「あいつの部屋はどこですか? そこに百合花がいるんです!」
和の声だ!!
遠くてくぐもっているけれど、それは間違いなく彼氏である和の声だった。
あたしは壁に手を付いて立ち上がり、ドアへと視線を向けた。
手にはしっかりとスマホを握りしめている。
「百合花ちゃん! どこにいるの!? いたら返事をしてちょうだい!!」
これはお母さんの声だ!
2人の声にまた涙が浮かんできた。
「ここだよ!! あたしはここにいるよ!!」
涙で震える声を懸命に振り絞る。
今のあたしがどれだけ大きな声を出したって部屋の外まで聞こえる事はないだろう。
それでもやめるわけにはいかなかった。
もうすぐであたしは助かるんだ。
ここから出られるんだ。
「お母さん! 和! あたしはここにいるよ!!」