ムシ女
あたしは陽介君の手のひらの上で、その笑い声を聞きながら涙を流した。
あたしが人間ではなくオモチャなら、きっと陽介君は飽きるまで遊ぶつもりなんだろう。
「さ、大人しくなったな」
陽介君がそう言い、あたしにカッターナイフを向ける。
涙でその刃さえ歪んでみえた。
いっそなにも見えなくなりたかった。
何も聞こえたくなりたかった。
それなのに……カッターの刃が右の足に突き立てられた瞬間、あたしは絶叫したのだった。
あたしが人間ではなくオモチャなら、きっと陽介君は飽きるまで遊ぶつもりなんだろう。
「さ、大人しくなったな」
陽介君がそう言い、あたしにカッターナイフを向ける。
涙でその刃さえ歪んでみえた。
いっそなにも見えなくなりたかった。
何も聞こえたくなりたかった。
それなのに……カッターの刃が右の足に突き立てられた瞬間、あたしは絶叫したのだった。