ムシ女
☆☆☆

皮膚がひきつるような感覚があり、あたしは目を覚ました。


頭がボーっとしていて起き上がる事ができない。


目だけ動かして周囲を確認すると、ここが悪魔の部屋であることがわかった。


眠っている間に状況が改善されるなんてこと、ここではありえない。


体はとても重たくて、まだ睡眠を欲していることがわかった。


でも、この眠気は雄介君が料理に睡眠薬を入れたのが原因だ。


このまま眠ってしまうわけにはいかない。


あたしは重たい体を無理やり起こした。


上半身を起こした時、自分が全裸である事に気がついた。


恥ずかしさと混乱とが入り混じる。


でも、大丈夫だ。


陽介君はあたしを犯す事はできないんだから。


自分自身にそう言い聞かせて深呼吸を繰り返した。


そして、もう1度部屋の中を見回した。


あたしは瓶の中には入れられていなかった。


いつもの机の上にハンカチが引かれていて、その上で眠っていたようだ。


ベッドの上には陽介くんがいて、ぼんやりとこちらを眺めているのがわかった。


その表情は恍惚としていて、口元が緩んでいる。
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