喜怒哀楽が､全てのものが帰ってきたら･･･

「い、いえ！大丈夫...です。」
・・・またか
「だから、お前は熱がでてんだよ!分かってるのか!そのまま濡れた服を着たままで余計酷くなったらどうするんだ？」
「あっ、それは・・・でも」

竜崎帝人は水川りの の態度に対して苛立ちを覚えていた、水川りのはどんな質問や会話に対してとても小さく細細とした声で喋っているので聞き取りにくい。
しかし水川りの の行動は全て仕方のないこと、水川りのは母親に昔言われた言葉に縛られ続けているのだから。
例えば･･･今日水川りのはお風呂に入った時に服を水で濡らした、しかも偶然濡れたわけではなく意図的に。これだけ聞くと不思議に思うかもしれないがこれは母親からの―――お前の服を洗うなんて嫌に決まってるだろ！風呂場を使って自分で洗え。服も着ておけばどうせすぐに乾く―――と言う言葉があるから。そう、水川りの の行動や言動、思考にいたるまでの全てには母親の存在が大きく影響している。言ってしまえば母親に言われたこことだけを実行する人形。
ただ今は母親の命令を実行しようにもそのやり方が分からないただの壊れたがりの操り人形だ。

しかしそんなことを竜崎帝人は知らない。
知らないから言ってしまう、この子供が覚えてはいけないことを教えてしまう。

「それにな、熱が酷くなりすぎたら最悪死ぬ可能性だってあるんだぞ!!」
?なんだ急にこいつの動きが止まった?
「お前だって死ぬのはいやだろ?だから服、着替えてこい。」

「・・・分かりました。服お借りします。」

こいつ、急に素直になったな。
まあ着替えてくれるんならいいんだけどな