苦手だけど、好きにならずにいられない!
「ちょ、先輩!外に出て下さい!
話があります!」
私は寺島先輩のポロシャツの腕を掴み、強引に教会の裏へ引っ張った。椰子の木の下で詰め寄る。
「なんてこというんですか?
あれじゃビッキーの立場ないでしょう?かわいそうですよ。あんなに頑張ってるのに!
照れてる場合じゃないです。協力してあげましょうよ」
「…やだ」
寺島先輩は意固地な態度に私は呆れた。こんなに頑固な人だったとは。
「ちょっとタキシードを着て、ビッキーのそばに立ってるだけでいいんですよ?ナオミさんのいうとおり、花嫁一人より花婿がいた方が絶対絵面がいいです」
「わーかってるさ、そんなの俺だって。でも、やりたくねえの!」
ぷいと向こうを向いてしまった。
もう、駄々っ子か!
「なんでそんなに嫌がるのか分かりません、私には……ビッキーがそんなに嫌なの?」
「違うよ。そんなんじゃない」
「じゃ、問題ない。出来ますよね?」
「……」
だんまりを決め込むか。もういいや。最初のプランで行こう。
「仕方ない。これ以上みんなを待たせてもいけないから、諦めます」
私は歩き出した。